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コーヒーは子育てと同じ ― コーヒー農家リスカニさんが語る、作物とコミュニティを育む想い

  • 01.10.26
  • Gender equality
  • Coffee

2026年は「国際女性農業従事者年」、そして10月1日は「国際コーヒーの日」。フェアトレードでは世界各地で活躍する女性農家をクローズアップしてご紹介します。インドネシアのコーヒー協同組合「Koperasi Kopi Wanita Gayo(KOKOWAGAYO)」のリスカニさんのストーリーをご覧ください。

インドネシアのコーヒー農家リスカニさんにとって、コーヒー農園を営むことは子育てと同じだといいます。愛情と忍耐、そして何かを育て上げるという揺るぎない覚悟が必要だからです。この想いは、インドネシアのコーヒー農園での仕事だけでなく、作物とお互いを支え合う女性たちのコミュニティづくりにも受け継がれてきました。

リスカニさんは、国際フェアトレード認証を受けた女性コーヒー協同組合「Koperasi Kopi Wanita Gayo(KOKOWAGAYO)」の共同創設者です。この組合はアジア初の女性によるコーヒー協同組合であり、現在680名の組合員が参加しています。

国際コーヒーデーの今日、フェアトレード・インターナショナルは、人々に愛される飲み物であるコーヒーの繁栄と、公平・公正な貿易の推進を祝うと同時に、栽培を支えるコーヒー農家の人々を称えます。2026年は「国際女性農業従事者年」(International Year of the Woman Farmer)でもあることから、フェアトレードはリスカニさんのような世界各地で活躍する女性農家にスポットライトを当てています。

リスカニさんのストーリー

リスカニさんがコーヒー業界に足を踏み入れたのは1993年にさかのぼります。当時は兄と共に、父親が経営する家族経営の食料品店で働いていました。2011年に品質管理担当者としてペルマタ・ガヨ協同組合(Permata Gayo Cooperative)に入り、コーヒー業界ではまだまだ女性の参画が必要であることを痛感しました。

2014年、リスカニさんは、アジア初の女性コーヒー協同組合「Koperasi Kopi Wanita Gayo (KOKOWAGAYO)」を共同設立し、現在では680名の組合員を擁しています。生産されるコーヒーの約98%が輸出向けであり、リスカニさんはSCA USA、SCA Europe、MICE Australia、Café Show Koreaなどの主要な国際的な舞台で、ガヨの女性たちが生産するコーヒーを代表して活動してきました。

また、アメリカの非営利財団によるコーヒー事業「Café Femenino USA Program」やインドネシアの国際フェアトレード認証コーヒー女性フォーラムでも指導的役割を果たしてきました。その貢献は国内でも高く評価され、フェアトレード・アジア太平洋(NAPP)の理事会への任命につながりました。これは、コーヒー業界における彼女の経験と、ガヨの女性農家たちと共に歩んできた活動を反映したものです。

 

コーヒー栽培を始めたきっかけを教えてください。

私は農家に生まれました。父も農家で、生まれたときからコーヒーづくりの過程を身近に感じてきました。父はコーヒーの買い付けもしていたので、幼い頃からコーヒーに囲まれて育ち、その加工方法も自然と理解するようになりました。母は商売人で店を営んでいたので、私のビジネス感覚はおそらく母から受け継いだのだと思います。

コーヒーは常に私たちの暮らしの根幹にありました。両親の親戚一同、いとこも祖父も、みな農家です。幼い頃から両親によく農園へ連れて行ってもらいました。学校が早く終わる金曜日は毎週農園に行っていて、そこでコーヒーの加工方法を学び、それが少しずつ日常の一部になっていきました。

そして2014年、私はKOKOWAGAYOの設立に携わりました。インドネシア初のフェアトレード認証を受けた女性のみの協同組合です。その前は、私は2009年に設立されたPermata Gayo協同組合での取り組みを見てきました。そこでの気づきは、会議は頻繁に開かれるものの、女性の役割がしばしば見過ごされているということでした。実際には、農業に携わる人の約70パーセントは女性であり、非常に大きな役割を担っています。だからこそ、何人かで集まって話し合い、女性のための場所をつくろうと考え始めました。それがKOKOWAGAYO誕生のきっかけです。

 2026年は「国際女性農業者年」です。今、農業に携わる女性であることは、どのような意味がありますか?

私にとって、コーヒーの世話をすることは自分の子どもを育てることと同じように感じられます。それは両親から学んだことです。両親はいつも、コーヒーはきちんと世話をしてこそ良い収穫が得られ、子どもたちを学校に通わせることができるのだと言っていました。ですから、コーヒーを世話することは子どもを育てることと同じなのです。植物をしっかり世話すれば、その分、結果もついてきます。

これは私が農業を続けるうえで、ずっと大切にしてきたことです。収穫が良いときには、独特の喜びがあります。この仕事はやりがいがあります。自分自身を律することができるからです。良い結果を望むなら、一生懸命働かなければなりません。それが本質だと思います。

コーヒー栽培における最大の課題は何ですか?

コーヒー栽培には、畑の草刈りやコーヒーの粉砕・乾燥といった加工など、体力を要する作業が数多くあります。女性にとって、こうした作業は重労働です。時間や体力が足りないときは、人にお願いして手伝ってもらうこともあります。収穫期も同様で、近隣の人たちに協力を呼びかけて収穫を手伝ってもらいます。

課題は畑仕事の体力的な面だけではありません。女性農家であり母親でもあるということは、子育てと家庭の役割との間で、エネルギーと時間をやりくりする力が求められるということでもあります。

さらに、コーヒー取引に携わる女性は、業界の担い手の多くが男性であるため、ビジネスでの信頼を得るのに苦労することがよくあります。女性と取引することをためらう人も少なくありません。私自身、フェアトレードに加わる前、コーヒービジネスに入ったばかりの頃には、対面やメッセージでの誹謗中傷を経験したこともあります。そうしたことがあるからこそ、女性は毅然としていなければならず、こうした言動に対して穏やかに応じるわけにはいかないのです。

 

女性農家はお互いにどのように支え合っていますか?

KOKOWAGAYOの強みの一つは、ビジネスだけでなく女性農家自身のウェルビーイング、特に健康にも重点を置いていることです。例えば、公的医療機関と連携し、いまだタブー視されがちな子宮頸がん検診を提供しています。受診しやすくするため、医療従事者に直接村を訪れてもらい、地域で検診を実施できるようにしています。

子どもたちのニーズにも細やかに配慮しています。母親たちが農園で働いている間、子どもたちが安全な環境で見守られるよう手配することで、女性たちは安心して仕事に取り組むことができます。こうした配慮は男性中心の協同組合では見過ごされがちですが、私たちにとっては欠かせないことです。

会合では、メンバーが個人的な悩みを打ち明けることもよくあります。健康診断で深刻な病気が見つかっても、家族の支えを得られない人もいます。そうしたとき、涙を流し私たちに心を開いてくれることもあります。こうした経験から、心理的なサポートがいかに大切かを実感してきました。

だからこそ私たちは、まだ実現には至っていませんが、いつか専門的な心理サポートを提供したいと考えています。どの家庭にも、それぞれの問題があります。それを一人で抱え込めば、負担はより重くなります。しかし、話せる相手に出会えれば、たとえすぐに解決しなくても、その重荷は軽くなるはずです。

女性農家がさらに力を発揮するために、どのような改善が必要ですか?

コーヒー栽培で最も大切なのは、堆肥づくりと剪定の二つです。これをしっかり行えば、神の思し召しがあれば、良い収穫につながります。

そのために何より必要なのは、栽培に関する確かな知識です。堆肥の作り方や使い方、植物の世話の仕方、良い収穫を得る方法、そして土壌を健全で肥沃に保つ方法などです。知識が深まるほど、仕事や収穫を改善するための新しい方法や技術を試すことができます。

フェアトレードの仕組みに参加していて、特に大切だと感じることは何ですか?

私にとって、フェアトレードの仕組みの中で女性協同組合の一員であることの一番の価値は、コミュニティの存在です。参加する女性たちもまた、このコミュニティの一部になります。このコミュニティを通じて、他では得られないような機会にアクセスできます。無料の裁縫教室や、家計簿のつけ方、収穫の記録方法についての研修も行ってきました。こうしたスキルは、農業だけでなく、家庭の運営や将来設計にも役立っています。

それと同じくらい大切なのは、一人ではないと感じられることです。分かち合い、学び合い、支え合える相手が常にいます。ですから、その恩恵は収入やスキルにとどまらず、帰属意識や自己肯定感を育むことにもつながっています。