フェアトレード・インターナショナル年次レポート2025
Fairness First - フェアネス・ファースト
Fairtrade International Annual Report 2025
フェアトレード・インターナショナルの年次報告書では、2025年の主な成果の概要と、中期戦略期間である2021年から2025年を終えてのハイライト、そして2026年から2028年に向けた大胆な新戦略について記載しています。報告書のマイルストーンは、生産者への力の均衡の移行、成長とイノベーション、アドボカシーとエンゲージメント、より公正なサプライチェーンのためのデジタル化という、2021年から2025年の戦略的優先事項に関連しています。また、3つの地域全体の生産者と、フェアトレードが彼らにとってどのような意味を持つかについても紹介しています。
「2025年は、変革を受け入れながら私たちの活動を深めた年でした。生活所得と生活賃金の推進、人権法制の推進、フェアトレードシステム全体で団結して野心的な新しいグローバル戦略を策定するなど、私たちは常に農家、労働者、そして私たちと協力するすべての人々にとっての公正さを第一に考えています。」
フェアトレード・インターナショナルの理事長リタ・デ・ソウザ・コウティーニョとグローバルCEOのマリケ・ルンネブーム・デ・ペーニャによる報告書の序文より
フェアトレードにとって重要なこの年を形作るために尽力してくださったすべての方々に感謝申し上げます。特に、私たちが支援する世界中の約200万人の農家と労働者の皆様に深く感謝いたします。
フェアトレード・インターナショナルは、年次総会の開催にあわせ、2025年の年次レポートを公開しました。レポートでは、より公正な貿易の推進と生産者のレジリエンス強化における進展が報告されるとともに、未来に向けた大胆な新戦略が示されました。
地政学的な不安定さ、市場の変動、気候変動による圧力など、世界を取り巻く環境は複雑さを増していますが、「フェアネス・ファースト(公正さを第一に:Fairness First)」と題された今回の年次レポートは、フェアトレードが達成した多くの重要な成果を浮き彫りにしています。例えば、122の調査・研究を包括的に分析した結果、フェアトレードが生産者の「経済的な安定」「気候変動への適応力」「女性の機会創出」といった重要な分野で、確実にプラスの効果をもたらしていることが証明されました。
また、レポートでは、農家が「生活を維持できるだけの十分な収入(生活収入)」を得られるよう、企業のコミットメント(約束と行動)が広がっていることにも焦点を当てています。実際に、15のビジネスパートナー企業がカカオの「生活収入基準価格(Living Income Reference Prices)」に基づく支払いを行っており、これにより一般的な農家の世帯が、人間らしい適切な生活を送るのに十分な収入を得られるようサポートしています。
フェアトレード・インターナショナルのグローバル最高経営責任者(CEO)であるマリーケ・ルネブーム・デ・ペーニャは、次のように述べています。
「公正さ(フェアネス)は、単なる倫理的な義務ではありません。強靭なサプライチェーンを築き、持続可能なビジネスを実現するために不可欠なものです。このレポートは、世界中の農家や労働者、企業、そしてパートナーの皆さまと共に私たちが成し遂げてきた前進を示すものです。同時に、私たちの新しい戦略は、ますます複雑化する世界的な課題の中で、インパクトを拡大し、農業コミュニティを支えていくための明確な方向性を提示しています」
2025年は、2021年〜2025年の中期戦略の最終年でもありました。過去5年間のデータによると、フェアトレードの生産者組織が獲得したフェアトレード・プレミアムの総額は10億ユーロ(約1700億円)を超えました。この資金は、農家や労働者自身の手によって、教育、医療、生産性の向上、インフラ整備、気候変動への適応といった優先課題への投資に役立てられています。
この5年間の戦略期間中、フェアトレードは12の新たな戦略的パートナーシップを結び、5,900万ユーロ(約100億円)の資金調達に成功しました。これらの資金は、気候変動対策、女性のエンパワーメント、若者の機会創出、労働者の権利保護などをテーマとした111の生産者プロジェクトを支えました。
【戦略の柱(主要目標)における主な成果】
1. 生産者や労働者への「パワーバランス」のシフト
2025年だけで、新たに16の「生活収入基準価格」が公開、見直し、または更新されました。現在、フェアトレードは世界22カ国、9つの産品を対象に、計30の生活収入基準価格を設定しています。
欧州連合(EU)の「森林破壊規制(EUDR)」への対応準備として、認証組織に所属する50万以上の農地(プロット)のマッピング(位置情報のデータ化)が完了しました。
2. 成長とイノベーション
2025年、フェアトレードは国際フェアトレード基準の大規模な改定を行いました。これにより、フェアトレードの根幹となる原則や価値観をしっかりと維持しながら、より効果的で、かつ現場で実践しやすい基準へと進化させました。
生産地域における市場の拡大も進んでいます。中南米では、29の生産者組織が、コーヒー、ワイン、ジュースなどのフェアトレード認証製品を自分たちの地域内で直接販売するようになりました。ブラジルでは、2025年末までにフェアトレード・ライセンス企業の数が40社に増加し、その中には14のブラジル産コーヒー協同組合も含まれています。
3. アドボカシー(政策提言)と市民の巻き込み
2024年から2025年にかけた提言活動により、フェアトレードは30の法改正に影響を与えました。また、EUの「企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)」や「森林破壊規制(EUDR)」、「有機農業規制(EUOR)」などの法制化プロセスに対しても、継続的な働きかけを行いました。
国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade Mark)に対する消費者の信頼も引き続き強固です。2025年のGlobeScan(グローブスキャン)社の調査によると、買い物客の4人に3人がフェアトレードラベルを認識しており、そのうち83%がラベルを「信頼している」と回答しました。
4. より公正なサプライチェーンのためのデジタル化
サプライチェーンにおけるデジタルの透明性と追跡可能性(トレーサビリティ)を高めるツールの強化を継続しています。
2025年には、新しく生まれ変わった「インパクト・プラットフォーム」を立ち上げました。ここには、フェアトレードの主要7産品に関するデータダッシュボード、世界各地のプロジェクト情報、そして50以上の委託調査報告書が公開されています。
未来への準備
今後の展望として、年次レポートでは農家のレジリエンス強化と、より公正で持続可能な貿易システムの推進に焦点を当てた「グローバル戦略2026-2028」の概要を説明しています。
今後の主な優先事項は以下の通りです:
バナナ、カカオ、コーヒーを対象とした、グローバルなサステナビリティ・プログラムの開発
時代に適応した、未来に通用する「フェアトレード基準」へのさらなる進化
コーヒーとカカオのサプライチェーンにおける、位置情報データの管理やEU森林破壊規制(EUDR)への対応を支援する「新しいデジタルツール」の導入
法規制への準拠、品質保証、そして信頼性を支えるための「トレーサビリティ(追跡可能性)システム」の強化
フェアトレードは、企業の皆さまをより良くサポートできるよう、変化する法規制の要件に合わせて進化を続けています。同時に、革新的な調達モデルや企業との協働を通じて、市場の拡大と生産者へのインパクト(好影響)の創出をこれからも広げてまいります。