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【出張レポート】フェアトレード・インターナショナル国際会議・欧州市場調査 報告 ~世界から見えた、日本の可能性~

  • 01.09.26

2026年6月に開催されたフェアトレード・インターナショナルの国際会議(ドイツ・ボン)と市場調査(ドイツ・スイス)について報告します

2026年6月、ドイツ・ボンでフェアトレード・インターナショナル(Fairtrade International/以下FI)の国際会議が開催され、フェアトレード・ジャパン代表理事の前田京子が参加しました。ドイツとスイスで実施した市場調査の様子とともに、現地で感じたことをレポートします。

今回の国際会議について

  • 日程:2026年6月9日(火)〜12日(金) 国際会議
    前後にドイツ・スイスで市場調査
  • 場所:ドイツ・ボン
  • 参加した会議:
    -CEOフォーラム
    各国のフェアトレード組織の執行責任者(CEO・事務局長)が集まり、今後の方針を話し合う会議

    -理事長会議(Chairs Meeting)
    各国組織の代表責任者(理事長/代表理事)が集まり、組織経営に関わる重要なテーマを話し合う会議

    -総会(General Assembly)
    年に一度、事業報告・決算の承認や規約の変更など、FIの重要な意思決定を行う会議

    -戦略フォーラム
    各国フェアトレード組織の責任者たちが集まり、フェアトレードのグローバル戦略について話し合う会議

今回あらためて体感したのは、ヨーロッパにおけるフェアトレード市場の浸透と成熟度が想像以上であったこと。そしてそしてフェアトレードを通した社会課題解決に向けた政府との連携がかなり進んでいることも印象的でした。
そしてもう一つ。住民の方々がフェアトレードをよく知っていること。

会議では、世界各国の代表者たちの日本市場に対する期待と信頼も体感しました。今回は、その信頼の上に見えてきた景色をお届けします。

通りすがりの方がフェアトレードの認証ラベルがプリントされたバッグを愛用していました(お写真の許可をいただいて掲載)

 

真のインパクトを生み出すための仕組みづくりへ

会議初日はCEOフォーラムに参加しました。各国の法整備や規制が加速度的に進む外部環境に対応しつつ、生産現場の実態に即した制度やインパクトを生み出す仕組みづくりに向け、白熱した議論が続きました。「生産者は本当に大丈夫か」「マイノリティ(少数派)の人たちはどうなっているか」——そうした発言が、議論の端々から自然に出てきます。コーヒーやカカオをはじめとした農産物の生産現場における人権や環境への課題に向き合い、より公正な取引を通じて、生産者・労働者の生活や持続可能な生産を支えるフェアトレードに携わるメンバーだからこその姿勢です。先進的な議論の根底にあるCEO一人ひとりの「フェアトレードへの思いの強さ」「市場拡大のためのプロジェクトを確実に実行する強い意志」を感じました。

新しいPR戦略や、生産者に関するデータをリアルタイムで確認できるダッシュボードなど、時代の変化やニーズに対応しながら、フェアトレードを進化させていく具体的な取り組みの数々が、こうした議論を重ねた上で実行されています。

CEOフォーラムの様子。各国の事務局長が集まり、率直な議論が交わされました。

5年ぶりの、あるべきゴールを再確認した対話

翌日の理事長会議は5年ぶりの開催ということで、この会議がめざすゴールを再確認し、議論が始まりました。各国の理事長/代表理事は、わたし自身も含め、基本的に別に本業がありながら、組織のガバナンス(統治)機能である理事会のトップとして、フェアトレードの発展・推進を考えている人たちです。今後の体制強化についても長い時間をかけて議論されました。各国がこの意思決定にどれだけ強い関心を持っているかが伝わってきました。

フェアトレードを「社会の当たり前」にする本気

総会、そして最後の戦略フォーラムを含め、今回の一連の会議を通じて改めて感じたのは、FIとそのメンバーが一体となって「フェアトレードを社会のスタンダードにする」という強い意志を持って活動していることです。市場拡大だけでなく、社会そのものを変えようとしている——その熱量を肌で感じました。

そして、日本の市場に対しては、「まだまだ大きな伸びしろがある。だからこそ日本市場をどう伸ばせるか」を一緒に考えてくれる仲間が世界中にいるのだと再確認することができました。

総会の冒頭にFI理事長よりあいさつ。世界各国の代表が一堂に会しました。

生産者の代表メンバーが現地での課題・今後の方針を共有

フェアトレードのグローバルネットワークは、ヨーロッパにメンバー組織が多数集中しているのに対し、アジア・太平洋地域のメンバーは少数派です。ヨーロッパにおけるフェアトレードの浸透度と比べ、日本の普及にはまだまだ課題が多いことを知っているメンバーたちから、「なにか協力できることはないか?」と何度も問いかけがありました。グローバル全体でのフェアトレードの発展において、日本が果たすべき役割の重要性を改めて感じました。

世界と日本とのつながりは、すでにしっかり築かれている。これまでフェアトレード・ジャパンに関わってきたメンバーが長年積み重ねてきた信頼の成果を生かし、いかに日本市場の拡大を進めていけるか、各国メンバーとも連携して実行に移していきたい。その思いを強める一連の会議でした。

世界各国のメンバーとの交流

世界から見た日本:「品質を大事にする国」への期待

印象的だったのは、本当に多くの各国代表者から「日本は品質を大切にする国だから、フェアトレードもこれからきっと伸びる」と言われたことです。「どうしたら日本市場をもっと伸ばせるか」という、前向きな問いかけや「もっと連携していこう」といった声をたくさんもらいました。

アフリカの生産者の方々とも交流しました。アフリカ産フェアトレード認証のバラの話で盛り上がり、「日本でもよく買っています」と写真を見せると、とても喜んでくれました。生産者にとって、消費国の人間と直接顔を合わせられることは、とても大きな意味を持つのだと感じた瞬間でした。

レセプションにて。日本への期待の声をたくさんもらいました。

ドイツ・スイス市場調査:フェアトレードが「日常」になっている光景

会議の前後には、ドイツとスイスでスーパーマーケットをかなり見て回りました。特にスイスは圧倒的でした。大手スーパーの「MIGROS(ミグロ)」「Coop(コープ)」ともに、フェアトレード商品が写真を撮りきれないほど棚に並んでいました。コーヒー、チョコレート、紅茶、バナナ、ヨーグルト、クッキー、スパイス——そして初めてフェアトレードのアボカドを見ました。見たことのないフェアトレード商品の多さに興奮しました。フェアトレード商品が、特別な商品ではなく、日常の買い物として定着している。それを肌で感じました。

ドイツのスーパーに並ぶフェアトレード認証のコーヒー。「BIO(ビオ)」と書かれたオーガニック認証とフェアトレード認証がセットになった商品も多く見られました。

BIOとは、ヨーロッパで「有機・オーガニック」を意味する言葉です。フェアトレード認証とセットで表示されている商品が数多くありました。

フェアトレード認証のアボカド

フェアトレード認証のバナナがスーパーの入り口に山盛りに陳列

フェアトレード認証とレインフォレスト・アライアンス認証のバナナが並んでいたり——異なる認証を取得した商品が、店頭に並んでいる様子も見ることができました。

チョコレート&コーヒー売り場でもフェアトレード認証製品が棚のほとんどを占めています。他の商品も種類が多くて写真が載せきれないくらいです。

最後に:この学びを、これからのフェアトレード・ジャパンの活動へ

今回の出張で一番感じたことは、世界中に、生産者や労働者の生活改善と自立をめざし、フェアトレードに真剣に取り組んでいる人たちがいるということです。その誰もが同じ組織のメンバーとして日々連携しながら活動していて、それぞれが様々な分野のスペシャリストでした。

また、ヨーロッパでは、フェアトレードがすでに暮らしの当たり前になっています。積極的に取り組む国々からは、たくさんのヒントをもらいました。こうした世界各地の事例を参考にしながら、日本でもフェアトレードをどう育てていけるか——その答えをみんなで模索していくための、大切な一歩になりました。

今回いただいた学びやご縁を、これからのフェアトレード・ジャパンの活動に少しずつつなげていけたらと思います。日本のフェアトレードを応援してくださる皆さまと一緒に、これからもフェアトレードを広げる歩みを続けていきたいと思います。

ドイツ・ボンの街並み。ベートーヴェンの生家がある街で、その像も。

レポーター:前田京子(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン 代表理事)