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国際フェアトレード認証製品の国内推定市場規模2024発表!堅調に推移し、10年で倍増

  • 03.05.25

国内の国際フェアトレード認証製品推定市場規模は215億円(昨年比2.2%増)となり、この10年で2倍以上増加しました。国民一人当たりの国際フェアトレード認証製品の年間推定購入額は174円となり、10年間でちょうど100円増える結果となりました。持続可能性に注目が集まり、気候変動等による価格上昇を受ける中で、国内のフェアトレード市場動向は堅調に推移しています。

 

2024は昨年比2.2%増。値上げラッシュが続く中でも最大の市場規模を更新

総務省の発表(*1)によると、2024年は、消費者物価指数が前年比2.7%の上昇をしており、2025 年 4 月の飲食料品値上げは、合計 4225 品目となるなど(帝国データバンク *2)、食料品を中心とした値上げラッシュが続いています。価格高騰によって売上や市場規模の縮小が予期される物品がある中でも、2024年度のフェアトレード国内市場は2.2%と増加しました。カカオ豆、コーヒー豆の歴史的原料価格の高騰や為替の影響により、原料の調達や製品の販売に関しては逆境であった2024年でしたが、フェアトレード認証製品の市場は堅調に推移する結果となりました。

*1 https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/nen/index-z.html

*2 https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250331_neage2504/

10年で2倍以上増加。

2014年以来、市場規模は94億円(2014)から215億円(2024)となりこの10年で2倍以上増加、国民一人当たり年間購入額は74円(2014)から174円(2024)となり、10年間でちょうど100円増える結果となりました。

産品別の市場規模~コーヒー、カカオが牽引。紅茶やハーブ・スパイスも増加~

日本のフェアトレード市場の大半を占めるのは食品であり、最新の2024年のデータにおいても、コーヒーが全体の78.2%を占める主要製品となっています。次いでカカオ製品が12.2%を占め、市場を牽引しています。フェアトレードコーヒーは、大手外食チェーンによる取扱中止の影響で外食市場での伸び悩みが見られたものの、家庭用製品の販売が好調であったため、2024年度全体では前年比97%と微減にとどまりました。一方で、カカオ製品は前年比169%と大幅な成長を記録しました。これは、輸入製品の売上増加に加え、国内の大手小売企業によるフェアトレード製品(主にプライベートブランド)の取扱強化に伴い増加した結果と推測されます。また、紅茶は前年比160%、ハーブ・スパイスは前年比109%と、いずれも着実に市場が拡大しています。

気候変動で絶滅や半減が危惧される日常の食

市場価格の高騰にもかかわらず、生産者である農家の収益向上には必ずしも結びついていない現状があります。多くの農家は気候変動に起因する異常気象により収穫量が著しく減少すると同時に、労働力確保、原材料調達、物流コストの上昇に直面しています。さらに、森林保全や人権・環境保護に関する規制強化等により、経営・管理コストの負担も増大。そのため、価格が上昇しても農家全体の収入は低いままの状況が続いています。

また、気候変動の影響で、2050年にはコーヒーの栽培地が50%に半減(アラビカ種)し、カカオの木は西アフリカで生育が難しくなると予想されています。また、バナナは病気で絶滅するリスクがあるほか、オレンジジュースやワイン、アボカドなど日常で親しみのある産品の多くが栽培・生産の危機に直面しています。その対策の一つとして注目されているのがフェアトレードです。持続可能な開発目標(SDGs)の全項目に寄与するとされ、消費者の日常的な選択で社会・環境改善に貢献できる最も身近な対策・アクションの一つです。従来、フェアトレードは「人権問題の解決手段」や「開発途上国支援」という印象が主流でしたが、気候変動対策としての機能については十分に認知されていません。

しかしながら、フェアトレードによって生産者に還元される資金が異常気象に適応するための農業トレーニングや資材への投資、グリーンエネルギー導入等の環境保全施策に活用されることで、気候変動対策としても重要な役割を果たしています。

今後、私たちの日常の食を守っていくための選択肢としても、ますますその価値が高まっています。

フェアトレード月間である5月にミリオンアクションキャンペーン2025を開催

フェアトレード・ジャパンでは、フェアトレード月間の5月、全国の100社以上の企業・団体・行政機関・飲食店・学校と連携して、フェアトレードに関するアクションの実施を呼びかける「ミリオンアクションキャンペーン」を開催します。

5月の1か月間のフェアトレードの商品購入数、SNS投稿数、イベント参加数など1アクション=1円として開発途上国への寄付や支援活動に充てるキャンペーンで、今年は過去最大の300万アクションを目標に、全国からの参加を呼びかけます。