ミツバチを守るストーリー
フェアトレード認証の養蜂家を対象に、気候変動への適応を支援する「Honey for the Future」プロジェクト


ミツバチは、農産物の受粉に欠かせない存在であり、はちみつを生産するうえでも重要な役割を果たしています。しかし、農薬の使用や気候変動の影響によってミツバチの数が減少し、食料供給そのものが脅かされています。
中南米フェアトレード生産者ネットワーク団体CLACとフェアトレード・フィンランド、グアテマラの生産者コーディネーター(the Guatemalan Fairtrade Coordinator)が連携し「Honey for the Future」プロジェクトを実施しています。
気候変動による気温変化・雨の不規則化・害虫被害などが養蜂に影響をもたらす中、本プロジェクトでは1,289名のフェアトレード認証を受けた養蜂家を対象に、気候変動への適応を支援し、適応技術や管理方法の強化を進めました。
現地では、コーヒー農家も養蜂を導入し、コーヒーの雑草管理・再植林・野生植物保全などと組み合わせることで、生物多様性の向上とエコシステムの回復に取り組んでいます 。
ミツバチはコーヒーの花の受粉を助ける重要な花粉媒介者であり、収量と品質の向上に貢献します 。養蜂はコーヒーだけに依存しない収入源となり、収入の多様化と気候リスクに強い農家経営の構築に資する方法です 。
はちみつは、アフリカ、アジア、ラテンアメリカなど、世界中の小規模な養蜂家にとって大切な収入源です。彼らは遠隔地に住むことが多く、買い手が限られるうえ、市場価格に関する情報も得にくいため、適正な価格で販売するのが難しいのが現状です。さらに、輸出には厳しい衛生・品質基準が求められ、それもまた大きなハードルとなっています。
フェアトレードは、こうした課題に寄り添い、最低価格の保証やプレミアム(奨励金)によるサポートを通じて、養蜂家が持続的に生産を続けられる仕組みを提供しています。また、農薬に汚染されていない土地でのオーガニック生産や、ミツバチにとってやさしい環境づくりを後押しすることで、ミツバチも人も守る取り組みが進められています。
Photo: ©Boris Smokrovic on Unsplash